Experience the CMOS Annealing Machine

第3章 アニーリングマシンと2次式と離散値の関係

第5節 連続値と離散値はユーザーの都合に合わせて考える場合がある

最適化問題をアニーリングマシンで解くという事は、組み合わせるべき要素をイジングモデルで表現するということです。それぞれの要素が$+1$か$-1$のどちらかの値になって答えを導く仕組みであるため、$+1$から$-1$の間の値は取れません。したがって、エネルギー関数の曲線上の点がどこでも解になりえるという連続値向けの解法とはその点が大きく違っています。第2章でも触れたように、組合せ最適化問題では、点と点の間は解になり得ないのです。

例えば、シフト最適化の例ですと、ある日(例えば、2/10)にAさんが勤務するかしないか、という形で問題を定式化します。これは、$1$か$0$なので、離散の問題となります。また、もう少し複雑な場合、Aさんが2/10にホール担当をするか調理担当するか休みか、という3つの中から選ぶ場合も、やはり3つのどれかを選択するので、離散の値となります。このように、きっちりどちらかに割り振る場合には離散の値となり、アニーリングマシンによる効果が大変期待できるタイプの問題と言えます。

しかし場合によっては、同じ対象であっても計算者の都合に合わせて離散にしたり連続値にしたりと、定義しなおすことができる場合もあります。切り離さず連続的に続くピザの面積をその場の人数で分ける時、連続値といえます。ただし、もちろん1枚のピザを1,000人で公平に分けるのは至難の業だと思いますので、現実的には離散の問題に近いかもしれません。現実的には、1人あたり内角30度くらいの角度で分けてほしいとして考えるわけですから、そのような考慮を入れた問題にすると、離散の問題と言えるようになるのです。また、クラスのメンバを2つに分ける場合も、両チームへの兼務を禁止すると難しいですが、例えば、1人あたりの作業時間を5時間として総作業時間を公平に分けるという問題であれば、1人の人がそれぞれのチームで2時間半ずつ作業すれば公平に分担することが可能となります。このように、離散の問題も連続の問題として考えることが求められる場合、必要な場合があります。

シェアする/フィードバックする